Stackin' Higher

ウォーゲーム成分入り雑記

Brazen Chariots - Operation Battleaxe: Mini-Crusader | ソロプレイ (2019/05/04-05/18)

f:id:taku9113:20190521010106j:plain
 机を2つ並べると縦置きのフルマップがうまい具合に3枚つながることが判明したので、本作のマップA~Cをすべて用いるお手頃なシナリオを探し、表題の 5.6 Operation Battleaxe: Mini-Crusader をセットアップしてみた。1941年6月15日から24日の全10ターン。西側マップAではトブルクの包囲がつづき、東側マップCではバトルアクス作戦が発動されようとしているところ。中央マップBに初期配置されるユニットは1つもない。
 なんとも贅沢な空間の使い方で、日頃せせこましく暮らす小市民の一人としてはなにやらイケナイことをしているような感じがして、ちょっと気の利いた特別ルールを用意すればこのシナリオではたぶん東西の移動にしか使われなさそうな中央のマップを省略できるんじゃないかとか考えてしまうんだけれど、いいだろここは北アフリカ戦線、見渡すかぎりの熱砂と大空なのだ。
f:id:taku9113:20190521010108j:plain
マップA - トブルク周辺
f:id:taku9113:20190521010111j:plain
マップC - エジプト-リビア国境周辺
 英連邦軍はエジプト-リビア国境周辺の要衝の奪回および Tobruk の解囲をめざす。ゲーム上の勝利条件でいえば、Halfaya Pass と指定3へクス(Bir Hafid、Sollum、Fort Capuzzo)のうち少なくとも1つを占領したうえで、Tobruk とマップC東端補給源とのあいだにMSR(Main Supply Route)をつなぐこと。
 Tobruk 周辺の両軍はドイツ軍 5 Le を除き Locked という状態でセットアップされる。Lock されているうちはなんの行動も起こせない。敵の攻撃を受けたとき、あるいは英連邦軍プレイヤーの宣言によって解除される。後者の場合は両軍の Lock がすべて一度に外れるのでタイミングに注意するよろし。
 戦史に明るい方やウォーゲーム感覚の鋭い方には初期配置と勝利条件を一瞥して「これ英連邦軍ツラくない?」と感じられるかもしれませんがその直感は正しいです。シナリオ解説文にもこう書いてある:

It should be very difficult to win as the Commonwealth.

 詳細は GamersArchive に公開されている原文をあたっていただくとして、本シナリオは、マップCのみを用いて6月15日から17日までを扱う 5.5 Operation Battleaxe を時間的・空間的に拡張したバリエーションで、作戦の成否をがっちり競技するというよりは国境沿いの攻勢に呼応して Tobruk 守備隊が包囲の突破、脱出を試みるというウェーヴェルが立案したもともとの計画の検証に主眼が置かれている模様。いいですね、燃えてきました。
 ところでBCSには The Gamers が得意とするところの記述式命令ルールがオプショナルで実装済みであるけれど、Brazen Chariots ではHQと Combat Train の特殊退却とあわせて常に採用すべしとされている。記述式といってもいたって素朴な規則なので身構えることはぜんぜんなくて、各フォーメーションに対し目標地点と経由点を与えてやればよい(例:Bardia via Sidi Aziz.)。あるいは Prepared Defense / Fatigue Recovery を行うよう指示を出す。「だれそれがどこそこへ側面を抑えに向かったのち他のだれそれがそこへ突撃」というような具体的な計画を練る必要はない。プレイヤーの負担は軽く、各フォーメーションの行動に適度な制約がかかるのでソロプレイのおもしろさを底上げするのにも一役買っていると思う。

f:id:taku9113:20190521010602j:plain
 そういうわけでバトルアクス作戦開始。
 英連邦軍は自動車化歩兵を中心とする 22 Gds と 11/4 Ind で Halfaya Pass を、Spt で Fort Capuzzo を狙い、主力となる機甲戦力 4 Arm と 7 Arm で Sollum を攻める。Sollum へ至る道にはイタリア軍のこもる陣地が2つあったのだけれど思いの外たやすく抜けて第1ターンに占領、Halfaya Pass の守備隊 KG Bach を孤立させることに成功する。2へクス射程持ちの 88mm による Engagement Zone を形成する敵歩兵に、自動車化歩兵の Truck MA では接敵できないという誤算(ただのルール忘れ)はあったものの、幸先のよいスタートを切れた……と思ったのも束の間、待ってましたと駆けつけてきたドイツ軍 15 Pz に Spt の数ユニットをつまみ食いされたあとやがて Sollum を奪回されて 4 Arm は半壊、7 Arm は海岸まで追いやられてしまう。
f:id:taku9113:20190521011046j:plain
f:id:taku9113:20190521011123j:plain
 個々のユニットのレーティングに絶望的な格差はないが、HQの内蔵砲兵値、指揮範囲、第2活性化成功率といった面でドイツ軍は英連邦軍に優っている。そしてもちろんやっぱこれだね 88mm の威容。Stand Off Support として運用されたときの効果は目覚ましく、本作最強のAV = 4にて生半の敵 Support は一撃のもとに引っ剥がし、裸の歩兵はサクサク削り、結構な率でマチルダをアウトレンジから撃ち抜く。僕はまだ有効な対策を思いつけていない。
f:id:taku9113:20190521011348j:plain
 一方 Hellfire Pass ことハルファヤ峠を死守する格好になった KG Bach は、3~4日間持久する健闘を見せるも 11/4 Ind と 22 Gds の果敢な攻撃を受けつづけついに1ユニット残らず壊滅。補給路を遮断されると、活性化の度合を決めるSNAFU判定(結果は全力、半減、まったく動けず(!)の3種類)に大きなマイナス修整を課されるため、途端に能動的な行動が取りづらくなる。HQ - Combat Train - Supply Source の3点で成り立つBCSの補給ルールはOCSと比べるとかなり抽象化されていて、最初にルールを読んだときはちょっとさみしく思ったものだけれど、遊んでいるうちにしっくりくるようになったし、あえなく孤立に至った際の重たいペナルティに感じるシビアさはOCS譲り。とはいえ、司令部や補給部隊(BCS:Combat Train / OCS:Transport Point)の脆弱さは緩和されているので、脅すつもりじゃありません。BCSの補給ルールについては、そのうち記事にまとめるかも。まとめないかも。
f:id:taku9113:20190521011424j:plain
 15 Pz にいじめ抜かれつつも土俵際を割らず――本当は割られているのかもしれないけれど――戦いつづける英連邦軍は、本来主力としたい 4 Arm と 7 Arm を行きがかり上 15 Pz の誘引に使って、自動車化歩兵を主体にじりじり戦線を押し上げる。特に 11/4 Ind の頑張りはすごかった。Halfaya Pass の KG Bach と戦火を交えて以来、来る日も来る日も突撃させられているのに一向に疲れ知らず。ゲーム語で言うと、Assault Arrow を持つ歩兵ユニットが行える Regular Attack を仕掛けたターンは2分の1の確率で Fatigue 値が増すのに、11/4 Ind は一度もこの Fatigue 判定に失敗しなかった。
f:id:taku9113:20190521011446j:plain
 しかし、国境付近が押されかけているのを見たドイツ軍がトブルク周辺に遊弋していた 5 Le を投入したのをきっかけに、英連邦軍は瞬く間に瓦解。22 Gds の1ユニットを残して盤上から消え去ってしまったところで、投了、枢軸軍の勝利とした。第7ターンのことだった。

 このバトルアクス作戦とブレヴィティ作戦の失敗を糧としてクルセーダー作戦は成功を収めたというので、早くそのシナリオ(5.7 Operation Crusader: Full Campaign かな?)を遊んでみたくてうずうずしている。それとは別に、今回のプレイではトブルク側で行動を起こさずじまいであったので、内側から解囲を試みていたらどうなっていたかも気になる。案外するっと脱出できてしまうのかもしれないし、そうでなくても強力な 5 Le をこちらに釘づけておくことはできるはず……とにかくこれだけはたしかに言えるのは、このゲームめっちゃおもしろいです。